知っとこニュース2012年1月号

メディアが流す情報から「中小企業に関わるニュース」を選び出し、スモールサンで若干のコメントを付して紹介するコーナー。中小企業経営者であれば、せめてこれくらいのニュースは「知っておこう!」という意味を込めて、このコーナーを「知っとこニュース」と名づけました。

今月紹介するニュースは以下の3つです。
①米国車輸入に数値目標を――米商工会議所がTPP参加の条件として日本に要求――
②金融円滑化法を来年3月まで延長――でも、「これで安心!」とはいきません―
③中小企業の海外進出に日本公庫が信用保証で支援――現地通貨を借り入れ易くする――

①米国車輸入に数値目標を――米商工会議所がTPP参加の条件として日本に要求――
「日本はTPPに参加したかったら、米国車の輸入を増やす約束をしろ!」というのが、アメリカ自動車業界の要望。とうとうアメリカ商工会議所の副会頭が「数値目標を示せ!」とまで言い始めました。以下の日経新聞の記事がそれです。
「全米商工会議所のオバーバイ・アジア担当副会頭は、日本経済新聞との会見で、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を巡って『日米で自動車の市場開放協議を先行するよう強く求めたい』と述べた。米国車輸入に一定の目標数量枠を設ける案も有力な選択肢と指摘した。
日本の交渉参加について『日本政府が厳しい決断をする準備ができていることを示すべきだ』と強調。米韓が自由貿易協定(FTA)交渉で取り交わした自動車合意を引き合いに出し、『同様の合意ができれば米議会に対する果断で明確なシグナルになる』と述べた。
この合意では、韓国の輸入車に適用する環境基準を緩和し、米自動車大手が1社2万5000台を韓国向けに輸出できる事実上の数量枠を設けた」。(日本経済新聞、2011.12.24)

米韓FTAでの「自動車輸入数量枠」は、アメリカの自動車大手が1社2万5000台までは韓国の環境基準を満たしていなくても米国車を韓国に輸出できるというもので、必ずしも「輸入ノルマ」という意味ではありません。しかし、一度数量枠が設定されれば、それが独り歩きして「ノルマ」的色彩を帯びかねないことに十分な注意を払うべきです。いずれにしても、今月後半からTPPに関する日米事前協議が始まりますが、その場でアメリカ側は「目標数量枠」を要求してくる可能性は高いとみておくべきでしょう。
日本はこんな要求をのんでまでも、TPPに入れてもらわなければならないのでしょうか。皆さんはどうお考えですか。
ちなみに、「TPP問題と言えば農業問題だ」と未だに思っている方はいませんか。それが誤りであることを、昨年12月号のスモールサンニュース「コレが言いたい」で詳しく述べています。ぜひ読んで下さい。

②金融円滑化法を来年3月まで延長――でも、「これで安心!」とはいきません――
懸案になっていた中小企業金融円滑化法の再延長問題が決着しました。来年3月まで延長するというものです。
金融庁は26日、中小企業の債務について返済条件の変更要請に応える努力義務を金融機関に課す中小企業金融円滑化法の期限を1年間延長する方針を固めた。東日本大震災や欧州債務危機など中小企業を取り巻く経済環境は依然として厳しいと判断。来年3月に期限が切れる同法を延長することで中小企業の資金繰りを後押しする。・・・金融庁は来年の通常国会に同法の改正案を提出し、来年3月末の期限を2013年3月末まで延ばす。これに併せて、中小企業の事業再生を支援する取り組みを加速させて13年3月末以降に軟着陸できるように備える。(日本経済新聞、2011.12.26)

ただ、「延長されたから安心」というわけにはいきません。記事にも、「事業再生を支援する取り組みを加速させ」るとあるように、借り手企業がしっかりとした再生計画を作り、それを実行に移していくことが「リスケ」の前提になります。今回の処置は、むしろ「安易なリスケは行わない」ことを前提とした法律延長と理解すべきでしょう。
スモールサンでは「経営計画を自身できちん策定できる経営者になろう」と、「管理会計研究会」を設立しました。勉強する経営者だけが生き残れる。これはけっして悪いことではありません。厳しい環境ではありますが、がんばって勉強していきましょう。
なお、金融円滑化法に関しては、今回のスモールサンニュースの「金融マンのオレにも言わせろ」のコーナーでも触れています。ぜひお読みください。

③中小企業の海外進出に日本公庫が信用保証で支援――現地通貨を借り入れ易くする――
中小企業が海外に進出した場合、現地の金融機関から現地の通貨を借りようとしても、知名度の低さなどのために実際は難しいことが少なくありません。そこで政府は、「日本政策金融公庫が信用保証することで、中小企業にも現地通貨を借り入れ易くする」という施策を実施することにしました。
経済産業省は、海外に進出した中小企業の資金調達支援に乗り出す。中小企業の海外子会社に対して日本政策金融公庫が債務保証することで、海外金融機関から現地通貨建ての融資を受けやすくすることなどが柱。これらの規定を盛り込んだ中小企業経営力強化支援法案を、来年の通常国会に提出する。
中小企業の海外子会社が現地で事業を拡大するには、給料の支払いや運営資金の調達などで現地通貨が必要だが、信用力が弱いため現地での借り入れが難しい。そのため海外子会社が現地金融機関から借り入れを受ける際に、日本公庫が信用状を発行して債務保証できるように、日本公庫の業務範囲を拡大する。
また国内の民間金融機関が日本の親会社を通じて中小企業の海外子会社に融資する「親子ローン」を実施する際の信用保証枠も拡充する。
中小企業の資金調達手段を多様化し、海外での事業展開の円滑化につなげる。

なお、この施策は、スモールサンを主宰する山口義行立教大学教授が参加する中小企業庁の中小企業政策審議会「企業力強化部会」でその方針が決定されたものです。スモールサン会員は、ぜひ積極活用しましょう。
―――今回の「知っとこニュース」は以上です。次回をお楽しみに。